『陽気なギャングが地球を回す』や『ラッシュライフ』、『グラスホッパー』が一つの流れだとすると、これは比較的読みやすいというか、『死神の精度』はまだ読んでいないが、どうもこっちに近いらしい。
「各地で戦争が起こり、人が互いに殺し合い、世間では下らないことで、愚かな事件が続発する。こんな世の中が良くなるなんてのは、ほとんど奇跡だ」というような発言に対し、それを全く肯定した上で、「だから、我々は奇跡を仕事にしているんだ」と言い切るところがあり、普通の小説(物話は宗教とは関係ない)でもこういう言葉が出てくるのが面白い。
教皇庁には「奇跡鑑定人」がいるそうだが、というかそういう小説があったのを思い出した。
今度、
「お仕事は?」と聞かれたら
「ええ、奇跡に関することを少々」と答えてみようかと思う。